はじめに
今までセンターといえば、治療を集学的に行うところと認識されてきたと思います。しかし当センターでは治療的側面はもちろん、患者さんにとって一生付き合っていかなくてはならない慢性疾患とともに、生活していくことにも焦点をあて、医師、看護師ばかりでなく様々な医療従事者が一体となって、生活的側面もきちんと対応するために開設いたしました。
慢性腎臓病は国民病と言われており、約1500万人の方が罹患されています。厚木市に限っても約3000人の方が罹患されています。
そして、慢性腎臓病は残念ながら治癒することはありません。罹患された患者さんは一生付き合っていかなくてはなりません。慢性腎臓病の治療をしながら、かつ、生活をしていくことになります。
慢性腎臓病の患者さんの診療は当センターだけで対応することは不可能です。今まで通り、治療的側面については地域の医療機関と密接に連携させていただき、役割を分担しながら、医療の提供をさせていただきたいと思います。慢性腎臓病(G1-3)の病期においては地域の医療機関の先生と当センターの腎臓内科医師とで「二人主治医制」の体制で患者さんの担当をしていきます。そして、生活的側面については治療的側面と並行して、当センターの看護相談外来と地域の医療機関の先生・看護師さんとで直接連携を取りながら、患者さんに寄り添っていきたいと思います。
患者さんご自身の人生のイベント(健診、通院、入院)の情報はそれぞれ診療していただいた医療機関に保存されてきましたが、その医療的側面の診療情報をサマリ化し、さらにその時点での生活的側面の生活環境、信条等を加えて、患者さんごとの人生記録を作成していく予定です。そして、必要な時にその情報を用い、患者さんの医療的側面・生活的側面の問題点について、患者さんに寄り添ったサポートを提供していきたいと思っています。
診療内容と提供する施設
外来
慢性腎臓病外来
健診でタンパク尿・血尿・eGFRの低下が指摘された時、かかりつけ医にeGFRの低下が指摘された時、腎臓の評価をするために是非受診をしてください。慢性腎臓病の原因である腎疾患の治療、生活習慣病(高血圧症、糖尿病、脂質異常症)の診療を行っていきます。
療法選択外来
将来、腎代替療法(血液透析、腹膜透析、腎移植)が必要と思われる状態になった時、患者さんがご自身でどのような治療が自分にあっているかを考えていただくための情報を提供いたします。同時に腎代替療法をしながらの生活について、看護師より生活に即した治療の仕方、社会資源の利用等の説明をさせていただきます。
入院
慢性腎臓病の原因の精査および加療、腎代替療法の導入、腎代替療法の合併症の治療など、入院加療の提供を行います。
腎代替療法実施
血液透析・腹膜透析・腎移植の治療は専門性が高いため、専門の医師の指導の下、専門の医療スタッフ、専門の施設、専門外来で診療させていただきます。
看護相談外来
慢性腎臓病外来を受診された患者に対して、医師の治療方針に沿って、また患者さんの生活に即して、
患者さんのお話を聞かせていただき、看護の視点から、説明、指導をさせていただきます。
生活支援
人生100年を言われる時代です。しっかり食べて、しっかり運動をして、
できるだけ自分の足で生活できるように、サポートしてまいります。
食事相談
食欲は生きていくための活力です。美味しい食事、バランスのいい食事を目指して、患者さんそれぞれの嗜好に合わせて、相談させていただきます。
運動相談
サルコペニア・フレイル予防対策が主体となります。三思会リハビリテーションが中心となって、筋力アップ、ストレッチのリハビリテーション動画を作成しています。最初は理学療法士からの直接指導させていただきます。その後は自宅で動画を見ながら、ご自身で運動をしていただきます。