にじいろの記事

にじいろにリフトが設置されました!

2021/09/30

今年8月、「公益財団法人 あすなろ福祉財団」から助成をいただき、にじいろのディルーム内に天井走行式リフトを導入することができました。今回は、その取り組みにいたる想いや経緯などを少しお伝えします。

 

人は本来、横になっているところから起き上がって、移動したりすることで、目に映る景色が変わり、興味や関心を育てます。また、起きることで自分の体を支えるため筋力や体力も使います。そのことから、起き上がって座り、移動することのできる車椅子などに乗り移ることは、利用される方のQuality Of Life(生活の質)において大切な要素の一つです。

にじいろには、ご自分で起き上がったり、移動したりすることに介助を必要される方が多く利用されています。もちろん、車椅子に乗り移るための介助(移乗介助)も必要です。しかしながら、移乗は、「体が空中に浮いた状態になる」ことから、介助される人にとって、不安や体に負担がかかりやすい介助です。これは、介助する人にとっても同じ事が言えるでしょう。

しかし、リフトという福祉用具を使用することで、スリングシートというネットにくるまれるように支えられて、一定の力で持ち上げられるため、介助される方、介助する方の双方の負担を軽減し、安心で安全、快適な介助の助けになると思います。また、このような福祉用具の利用は、介護をする方の腰痛予防として、国からも強く推進されています。最近では、新型コロナウィルス感染症予防の一つでもある「密着の回避」にもつながると考えています。

にじいろでは開設以来、これらのことを念頭におき、移乗のために可能な限り二人介助でおこなったり、スライドシートという福祉用具を利用したりと、少しでも安全な方法を取り組んできました。また、昨年からは場所は固定されてしまいますが、負担がより大きくなる床とベッドの移乗に対してリフトをレンタルして使用していました。

       

スライディングボードやリフトの使用に対して、職員からのアンケート調査もおこないましたが、全員が道具や機器の利用で負担感の軽減を感じていたことがわかりました。また、介助される方の様子では、リフトのスリングシートによって包まれるようにリフトアップされることで緊張が緩和され、笑顔もみられることもみられていました。

これらの取り組みを継続しながら、天井走行式リフト導入の発案から概ね3年をかけて今日に至っています。これが、今回導入したリフトです。

         

 

 

今回、天井走行式リフトの紹介をさせていただきました。最後にリフトを導入する過程で感じたことをお伝えします。

リフトは、今までご紹介したようにメリットとなることも多い反面、デメリットもあります。例えば、設置する場所の広さや導入するための金額です。また、ネットを体にかけて機械を操作するという手順の不安や、時間がかかるのではないかということもあると思います。

しかしながら、移乗介助のための福祉用具や福祉機器は、生活環境に合わせて様々な形状のものが、どんどん増えていますし、導入のための補助制度もあります。操作も慣れることで、抱きかかえの介助と、リフト使用の時間の差は1分程度になるとも言われています。

在宅における移乗介護の状況は、介助者が一人で抱きかかえる方法が最も多く、子どもの成長と、介助者の加齢により、在宅生活が難しくなることが多いといわれています。今までお話しした通り、にじいろでは様々な試行錯誤をしながら、現在に至りました。これからは、今までの経験や知識を活かして、少しでもご自宅での介助が安全で安心、快適になるように、お手伝いさせていただければと考えています。