東名厚木病院

神奈川県がん診療連携指定病院

認定

コラム

苦痛を緩和し生活の質を高める「緩和ケア認定看護師」とは

TEAM TOMEI

2025年4月28日

認定看護師コラムVol.02

東名厚木病院では、様々な分野の認定看護師が活躍し、看護の質向上に努めています。
そこで今回は、緩和ケア認定看護師のM看護師にお話しをうかがいました。

 

緩和ケア認定看護師は、どのようなことを専門にしているのですか? 

主にがん患者さんやその家族を対象に、痛みやそのほかの身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題といったトータルペイン(全人的苦痛)を緩和し、生活の質を高めるのが緩和ケア認定看護師の役割です。
院内では、不安を抱える患者さんやご家族に対して個別に話をうかがい、継続的に関わることで、安心した療養生活が送れるように支援しています。がんと診断された患者さんとご家族に対して早期から関わり、受容や意思決定の支援を行っています。また、緩和ケアチームの一員としてカンファレンスへ参加したり、他施設の患者さんやご家族からのがん相談対応も行っています。
地域では、年3回行われるがんサロンで「がん相談支援センター」について紹介し、困ったときにいつでも相談できる場所があることを知っていただく活動を行っています。

 

なぜ認定を取得しようと思ったのですか? 

看護師5年目のとき担当した患者さんとの出会いがきっかけです。
その患者さんは、肺がんで日常生活のすべてを医療者に頼るしかない状況でした。夜は眠れず「たばこを吸いたい」「ずっと天井ばかりだ」「外に出たい」と硬い表情で訴えることが多くなり、看護師に怒りをぶつけことも多くなったため、ベッドごと外に出てたばこを吸いに行くことを計画しました。すると、次第に心を開いてくれるようになりました。ある日、他のスタッフに外に出ることを理解してもらえず「なぜわかってくれないのか」と言っていることを知りました。それは看護計画に「喫煙する行動」しか反映しておらず、患者さんが「外に出る意味」をチームで共通理解することができていないのが原因でした。これは、患者さんを全人的に捉えるアセスメントやチームで統一した関わりの重要性について考えさせられる経験で、認定看護師を目指すきっかけとなりました。
患者さんとは時間をかけて対話をしていくことを心がけています。それは対話をしていく中で、思いや願いを伝えてくださる事が多いからです。患者さんやご家族に寄り添い、その方らしく過ごせるよう支援していくこと、誘導するのではなく本人の意思で生き方の選択ができるように支援していくことが大切だと思っています。

 

今後、目指していきたいことは?

患者さんやご家族への対応だけでなく、認定看護師の役割である指導・相談に力を入れていきたいと思っています。看護の伝承ができるように患者さんとの関わりを見てもらい、カンファレンスを通して看護を語る機会を増やしていきたいと考えています。
緩和ケアは診断時から行うものですが、「緩和ケア=終末期」という考えを持っている方がまだまだ多いと感じています。スタッフへの教育や地域への普及などにも取り組んでいけたらと思っています。

 

認定看護師とは
高度化し専門分化が進む医療の現場において、水準の高い看護を実践できると認められた看護師で、「認定看護分野」ごとに日本看護協会が認定しています。
患者さんやご家族によりよい看護を提供できるよう、認定看護分野ごとの専門性を発揮しながら認定看護師の 3つの役割「実践・指導・相談」を果たして、看護の質の向上に努めています

*参考:日本看護協会

 

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