東名厚木病院

神奈川県がん診療連携指定病院

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糖尿病チーム

運動療法 第3回(3回シリーズ)

2019年6月1日

最終回は立って行う運動をご紹介したいと思います。

立って行う運動には、バランスを崩しやすいものもありますので、安全に行えるようにはじめは掴まりながら行ってみてください。

※筋力トレーニングは息を止めずに呼吸を意識しながら行ってください。息をとめながら行うと、血圧が上がりやすくなりますので、注意してください。

・壁に両手をついて腕立て伏せをします。

・壁に対して身体の角度を調整することで負荷の調整ができます。

・まずは10回から開始して徐々に回数を増やしていきましょう。

 

 

 

○スクワット

  • ・まずは掴まりながら行いましょう。
  • ・椅子に座るように膝を曲げていきます。
  • ・膝に痛みがある方は無理をしないでください。
  • ・まずは10回から開始して回数を増やしていきましょう。

○片足立ち

・バランスを崩しやすいので掴まりながらはじめましょう。

・30秒~1分間、姿勢を保持します。余裕があれば時間を伸ばしていきます。

 

 

 

 

○かかと上げ

  • ・まっすぐ伸びあがるようにしましょう。
  • ・親指に体重をかけるようにします。
  • ・まずは10回から開始して回数を増やしていきましょう。

○段差昇降

  • ・ご自身にあった高さの段差(10~20 cm程度)で行います。
  • ・手を大きく振ることで負荷量が増えます。
  • ・30秒~1分連続で行ってみましょう。体力に合わせて時間を伸ばしていきましょう。

3回に分けて「糖尿病の運動療法」についてご紹介してきました。みなさまの運動の参考になりましたでしょうか。有酸素運動(ウォーキングや水泳など)とともにぜひ行ってみてください。

決して「運動をいっぱいしたからたくさん食べていい」というわけではありません。食事療法・薬物療法と一緒に運動療法も行ってくださいね。

わからないことがあれば主治医に確認しながら今後も糖尿病と上手にうまく付き合っていきましょう。

 

(東名厚木病院 リハビリテーション科 DMチーム一同)

 

運動療法 第2回(3回シリーズ)

2019年5月15日
  • 今回は座ってできる運動について紹介したいと思います。
  • 座って行う運動は、バランスを崩しやすい人、足腰が痛い人におすすめです。
  • 運動に自信がない人も行える簡単な運動になりますので、少しずつ初めてみましょう。
  • ※筋力トレーニングは息を止めずに呼吸を意識しながら行ってください。息をとめながら行うと、血圧が上がりやすくなりますので、注意してください。

○膝伸ばし

  • ・反動をつけないようにゆっくりと行います。
  • ・足首を天井に向けます。
  • ・10回ずつ行い、徐々に回数を増やしていきましょう。

 

  • ・反動をつけないでゆっくりと行います。
  • ・余裕があれば椅子に浅く座って行うと負荷が上がります。
  • ・10回ずつ行い、徐々に回数を増やしていきましょう。

○かかと上げ

  • ・反動をつけずにゆっくりと行います。
  • ・親指の指先に力を入れて、ふくらはぎに力が入っているかを意識して行います。
  • ・10回ずつ行い、徐々に回数を増やしていきましょう。

○足踏み

  • ・もも上げをしながら腕を前後に振ります。
  • ・できるだけ大きく手・足を動かすようにしましょう。
  • ・余裕があればペットボトルなどを手にもちながら行うと負荷が上がります。
  • ・30秒~1分からスタートして連続時間を増していきましょう。

今回は椅子に座りながら行える運動についてご紹介しました。テレビでも見ながら初めてみませんか?

次回は立って行う運動になります。お楽しみに。

(東名厚木病院 リハビリテーション科 DMチーム一同)

運動療法 第1回(3回シリーズ)

2019年4月30日

2018年11月17日に行われた糖尿病教室におきまして、みなさまから「もっと運動の内容を知りたい!教えてほしい!」というご意見を多数頂きました。そこで糖尿病運動療法について、特に、有酸素運動とともに行うとより効果的なレジスタンス運動(筋力トレーニング)についてご紹介したいと思います。

今回は第一弾として「糖尿病の運動療法とは」「準備運動~ストレッチ~」についてご説明いたします。

 

1. 糖尿病の運動療法とは

まず、全身状態・合併症によって運動をしてはいけない人や運動に先立ってお薬の調整が必要な場合があります。運動を始めるときは必ず主治医に相談してから開始するようにお願いいたします。

 

【運動療法の効果】

  • ・運動はエネルギーとしてブドウ糖が消費されるので、血糖値を下げる効果があります。
  • ・インスリンの作用を効きやすくする(インスリン抵抗性の改善)効果があります。
  • ・過体重の方にとっては減量に役立ちます。
  • ・加齢や運動不足による筋萎縮や骨粗しょう症の予防に役立ちます。

 

【運動と時間】

  • ・原則として実施可能な時間帯に行えますが、食後血糖を下げるためには、食後の1~2時間後に行うと効果的です。 (インスリンやインスリン分泌促進薬が処方されている方は空腹時・食前の運動は低血糖の危険があり勧められません。)
  • ・有酸素運動の場合、1回20~60分、週3~5回以上(合計150分以上)行うことが推奨されています。

 

【運動の内容】

  • ・有酸素運動:ウォーキングや水泳など、酸素をしっかり取り入れて行う運動。
  • ・レジスタンス運動:筋力トレーニングのこと。
  • ※有酸素運動・レジスタンス運動を合わせて行うことが効果的です。

 

2. 準備運動 ~ストレッチ~

突然、運動をたくさん始めると身体を痛めてしまうことがあります。準備運動として次のようなストレッチを行い、あらかじめ筋肉を伸ばしておいてから運動をはじめていきましょう。

 

【ストレッチのポイント】

  • ・勢いをつけないで行います。
  • ・息を止めないで行います。
  • ・どの運動も10秒程度行うようにしていきましょう。
  • ・筋肉が伸びているか意識してみましょう

 

○両手を上げる

肩が痛い方は痛くない範囲で行ってください。

 

 

 

 

 

 

 

○体幹回旋

腕は下がらないように気を付けましょう。

 

 

 

 

 

 

 

○体幹側屈

わき腹が伸びているのを意識してみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

○ふとももの裏のストレッチ

 

 

 

 

 

 

 

 

○アキレス腱伸ばし

勢いをつけずにゆっくりと伸ばします。

 

 

 

 

 

 

 

  • 今回はストレッチの方法についてご紹介しました。
  • 次回第二弾では、座って行える運動についてご紹介していきたいと思います。

(東名厚木病院 リハビリテーション科 DMチーム一同)

 

糖尿病教育入院のご紹介

2019年3月25日

今回は糖尿病患者さんを多くお受け入れしている地域包括病棟から、糖尿病教育入院についてご紹介いたします。

糖尿病教育入院とは、初めて糖尿病と診断された方や治療を受けていてもコントロールが思わしくない方に1~2週間入院していただき、高血糖の原因を調べて治療するとともに、退院後良いコントロールを維持するため患者さん自身に糖尿病を良く知っていただくためのものです。糖尿病は医師任せ、お薬任せではコントロールできない疾患であり、食事・運動など生活習慣を必要に応じて改めたり、起こりうる合併症を知り定期検査を受けたり、お薬の作用を理解して低血糖を防止するなどの自己管理が必要なのです。これらの療養上の必要事項を、私たち看護師や管理栄養士、理学療法士、薬剤師、臨床検査技師が、医師とともにできるだけわかりやすくご説明させていただいております。

ご説明の際には、日本糖尿病協会が開発した『療養指導カードシステム』を用いてできるだけ正しい知識を身に着けていただくよう工夫しています。また、患者さんの課題は千差万別であり、毎週多職種が集まりカンファレンスを行って個別性のあるご説明ができるよう取り組んでいます。さらに、患者さんにとって分かりにくかった、入院から退院にいたる治療・検査・指導などの過程をクリティカルパスという工程表にまとめ、予めご案内できるよう現在作業を行っています。

至らない点もございますが、看護スタッフ一同、よりよい糖尿病療養のお手伝いができればと取り組んでおりますので、是非一度糖尿病教育入院をご検討ください。

教育入院等のご相談は、とうめい厚木クリニック(電話:046-229-3377)糖尿病外来までお気軽にお問合せいただければ幸いです。

地域包括病棟 看護課長 瀬川 千恵

糖尿病外来部門のご紹介

2019年2月8日

今回は、とうめい厚木クリニック・糖尿病外来の最近の取り組みについてご紹介したいと思います。

【糖尿病の理解~糖尿病教室~】

糖尿病をコントロールして合併症を防ぐには、糖尿病という病気についてよく知ることが大切です。そのため糖尿病内分泌科・野口医師が2018年5月~糖尿病教室を毎月開催しています。(概要は下図の通り)初めての方にもわかりやすくご説明していますので、通院中の方はもちろん、患者さんのご家族、肥満傾向があり今後糖尿病が心配な方などお気軽にご参加ください。

(注)2020年10月14日は都合により休講となります。

【糖尿病足病変~フットケア~】

高血糖が長く続くと、糖尿病患者さんの足は神経障害によって感覚が鈍くなったり、血流が悪くなったり、免疫が十分働かなくなったりして、小さな傷から潰瘍・壊疽(腐ること)に至り、足切断を余儀なくされることがあります。糖尿病担当看護師は、そうした足病変のリスクが高い方について、傷を作らないよう正しい足のケア方法についてご説明したり、医師の指示に基づき傷の処置をしたりしています。毎年2月10日はフットケアの日です。ご自身の足をよく見て、傷や変色など、少しでもおかしいなと思ったらお気軽にお声がけください。

【糖尿病性腎臓病~糖尿病透析予防外来~】

糖尿病の方の約3~4割に腎臓の合併症があると考えられています。適切な管理をしないでいると、自覚症状がないまま腎臓の機能が低下してしまい、生命維持のため透析(血液を浄化して体内に戻す)治療等が必要になります。日本では新しく透析導入になる方の4割強が糖尿病によるものであり、患者さんのQOL(生活の質)が損なわれること、医療費の増大につながることから、糖尿病患者さんの透析予防は喫緊の課題となっています。ただ糖尿病性腎臓病では、比較的早期に管理を強化すれば透析を予防・遅延させることができるのもその特徴です。具体的には、血糖・血圧・脂質管理、禁煙など、自己管理と薬剤による多面的治療が必要で、通常外来より十分時間を取ってご説明ができる専門外来<糖尿病透析予防外来>を開設しています。蛋白尿やアルブミン尿、腎機能低下を指摘されている糖尿病患者さんで、透析を予防したい、とお考えの方は是非主治医や糖尿病外来の看護師にご相談ください。

【質の高い血糖管理に向けて~持続グルコースモニタリング~】

糖尿病合併症を防ぐにはHbA1c(過去1~2か月の平均血糖値を反映する数値)を低く保つことが必要ですが、低血糖がないこと、大きな血糖変動がないことも大変重要です。昨年当院で導入したフリースタイルリブレ(アボット社)は、500円玉程度の小さなセンサーを腕などに装着して、測定器でスキャン(駅の改札でSuicaをかざすように)するだけで、血糖値に近い皮下のグルコース値を知ることができるツールです。1日数回の指先採血による血糖測定では気づけなかった低血糖、高血糖、血糖値の動きを知ることによって、食事の摂り方や運動の仕方を見直して質の高い血糖管理に繋げることができます。保険適応があるのは、注射療法を行っている方で低血糖があるなど血糖コントロールが不十分な方となります。関心のある方は、担当医や糖尿病外来看護師に相談してみてください。

糖尿病療養指導士・外来看護師 上杉 美樹

第3回糖尿病教室のご報告(後編)

2018年12月15日

前回に引き続き第三回糖尿病教室のご報告第2弾です。第2部ではサルコペニアを予防するための運動と食事についてお話ししました。

まずは運動です。理学療法士が会場の皆さまとの実技を交えて、どのように運動を日常生活に取り入れたら良いか具体的にご説明しました。例えば、テレビを観ながら椅子に腰かけ足踏みをするだけでも筋力アップに役立つのだそうです。

 

 

次にお食事です。管理栄養士が、サルコペニア予防と血糖コントロールを兼ねた献立についてご説明しました。サルコペニア予備軍の糖尿病患者さんは主菜(主なおかず)、とくに筋肉の元となるタンパク質を適度に摂る必要があります。(※ただし腎臓が悪い方は個別に医師に相談してください)手軽に利用できる市販品を用いた具体例をスライドから掲載いたしますので、参考になさってください。

 

最後に社会福祉士が高齢者を支える制度とサービスをご説明しました。年齢とともに認知・身体機能が低下し、今までできたことができなくなるなどお困りの方は、当院に通院されている方なら社会福祉士に、また通院されていない場合は、地域包括支援センターに相談してみましょう。困り果ててしまう前に相談に乗っていただくと良いですよ。

糖尿病教室のご報告は以上です。最後までお読みいただきありがとうございます。アンケートでお寄せいただいた貴重なご意見を参考とさせていただき、来年も楽しくて皆さまの療養に役立つような糖尿病教室を開催したく思います。それまでの間くれぐれもお元気でいらしてくださいね。

 

 

(薬剤科 成田 千津)

第3回糖尿病教室のご報告(前編)

2018年12月12日

11/17に開催した糖尿病教室についてご報告いたします。週末の行楽日和でしたが50名を超える方が足を運んでくださいました。糖尿病チーム一同大変嬉しく思うと同時に、皆さまが熱心にメモをとる姿に身が引き締まる思いが致しました。

今回はテーマを『高齢社会と糖尿病』として、ご高齢糖尿病患者さんにとって注意が必要な低血糖や筋肉量・筋力低下(サルコペニア)への対策や、認知・身体機能が低下しても切れ目なく治療を続けるためのサービスについてお話ししました。

第1部ではご高齢糖尿病患者さんの日常を寸劇でご覧いただき、特にご注意いただきたいポイントについて○×クイズを交えながら、糖尿病・代謝内科 佐々木医師が解説しました。クイズの設問は右記の通りです。よろしければ皆さま考えてみてください。意外と難しいですよ。

(答えは最後に掲載いたします)

 

次に、超高齢社会への突入とともに問題となっているサルコペニアについて整形外科 中医師が解説しました。サルコペニアとは、加齢や疾患により筋肉量や筋力が減ることを言い、これまでできたことができなくなり、生活の質低下につながる状態で、生活習慣の改善や糖尿病の管理によって予防も可能なことから注目されています。サルコペニアが疑われる場合とは、青信号のうちに横断歩道を渡り切れないような歩行速度の低下や、握力が女性 18kg未満、男性 26kg未満に低下する場合があります。早期発見には「指輪っかテスト」が有用で、ふくらはぎと両手の指輪っかの間に隙間ができる場合には生活習慣を改める必要があるでしょう。

 

さて、お待たせしました。○×クイズの答えは…すべて×です!正答率が低かったのは⑤の「低血糖は症状が出ないほうがよい?」でした。冷や汗、動悸、手のふるえなどの低血糖症状が出ない場合、ブドウ糖を飲むなどの対処ができないまま、いきなり昏睡に陥ることがあり、実はとても怖いことなのです。このように血糖値が低くても症状がない場合、治療の見直しなど対策が必要ですので必ず主治医に相談してくださいね。

次回は第2部、サルコペニアを予防する生活習慣についてご報告いたします。

(薬剤科 成田 千津)

カーボカウント勉強会を開催しました

2018年11月13日

去る10月18日、武蔵野赤十字病院の原純也先生を講師にお招きして、医療者向けカーボカウント勉強会を開催しました。
カーボカウントは食品交換表とは異なり食事中の糖質をカウントしてお薬と組み合わせることで、血糖変動の少ない良好な血糖管理につなげる方法です。

受講者は職員50名、近隣の糖尿病専門施設から10名と盛況で、基礎から応用まで実践的に学ぶ機会となりました。
今後、より多くの患者さんがカーボカウントを活用できるようサポートしていきたいと思います。
原先生、貴重なご講演を賜り誠にありがとうございました。

(栄養科 五十嵐 忍)

11月17日 第3回糖尿病教室を開催します!!

2018年10月12日

2017年3月、9月に続いて、第3回糖尿病教室は、『高齢社会と糖尿病』をテーマに開催いたします。
糖尿病患者さんがご高齢になると、身体的にも認知機能的にも糖尿病療養を安全・適切に行うことが年々難しくなっていきます。
高齢患者さんにまつわる日常診療の一コマを寸劇仕立てとし、注意点や対策について考える機会にしていただくほか、身体機能を維持する方法、介護が必要な方への対策についても、当院スタッフがわかりやすくお話をさせていただきます。

ちなみに、11月14日は糖尿病治療にとって画期的なインスリンを発見したバンディング博士の誕生日であり、全世界で糖尿病啓発キャンペーンが繰り広げられる“世界糖尿病デー”です。

本講座の内容をぜひ身近な方にも伝えていただいて、皆様の健康管理に役立てていただければ幸いです。
参加費無料、ご予約も不要となっております。ふるってご参加ください!

糖尿病チームのブログを開設しました!

2018年10月12日

(2018/11/17 第3回糖尿病教室にて撮影)

糖尿病はほとんど自覚症状がないまま、失明、腎不全、壊疽、脳卒中、心筋梗塞、認知症、がん等、様々な合併症を引き起こし健康寿命を短縮させてしまう病気です。
我が国の糖尿病人口は1000万人を超え(平成28年厚生労働省国民・栄養調査)、20歳以上の男性の18.1%、女性の10.5%を占める(平成29年同調査)と推計されており、他人事ではないごく身近な疾患となっています。
ただ幸いなことに近年の糖尿病治療の発展はめざましく、健診などで発見したら直ちに治療を開始し良好に管理することで、糖尿病は恐れるに足りないものともなっています。

東名厚木病院(入院部門)、とうめい厚木クリニック(外来部門)では、患者さんが糖尿病と向き合い、うまくコントロールして、ピンピンコロリ(PPK)と人生を全うできるよう多職種による糖尿病チームが療養のお手伝いをしています。
患者さんとともに生活習慣などを軌道修正していく作業は決して一筋縄ではいきませんが、日々研鑽を積みうまく行ったときには大きな励みとなっており、このたび、私たちの活動の一端をみなさまに知っていただきたくブログを始めることとなりました。
ぜひときどき訪れていただき、身近に感じていただければ幸いです。

(糖尿病・代謝内科 佐々木 奈都江)

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