放射線治療センター
私たちは、患者さんが安心して治療が受けられるようサポートしていきます。
心配なことや疑問に思っていることなどがありましたら、遠慮なくお声かけください。
当院の放射線治療の特徴
高精度の照射治療で、ピンポイントでがん細胞に照射できる体制を整えています。
1. 高精度な治療を提供するための専任スタッフ
当院では、放射線治療医・医学物理士・診療放射線技師・看護師など様々な職種のスタッフが連携して、安心して治療を受けられるよう日々努めています。
2. 東京大学医学部附属病院との連携
東京大学医学部附属病院放射線治療部門と専門のネットワーク回線を結び、放射線治療計画装置や治療情報などを共有し連携して、患者さん一人一人の治療を行っています。
3. 積極的な予防・緩和照射の受け入れ
がんを治すための根治照射だけでなく、がんによる様々な症状を和らげたり、予防するための緩和照射も積極的に行っています。また、緩和ケア内科と連携して、身体的な苦痛だけでなく精神的な苦痛も和らげて生活の質(Quality of Life;QOL)を高めるよう努めています。
緩和照射について
4. 地域との連携
当院は、院内・院外を問わず、地域の医療機関との連携を重視しています。院外からは、紹介予約制となっておりますので、地域連携部までお問い合わせ下さい。また、スムーズな情報共有と治療導入のため、医師間での直接連絡も喜んでお受け致します。
地域連携部
5. 入院・個別送迎での治療も可能
通院が難しい患者さんには、入院での治療にも対応しております。また、状況に応じてご自宅への送迎も行っていますので、お気軽にご相談ください。
がん相談支援センター
当院の放射線治療の詳細はこちら
当院で行っている放射線治療の種類

1. 根治照射(根治的放射線治療)
病気を完治させることを目指す治療です。
多くは手術をすると、その臓器の機能や形態が損なわれるものに対して検討されます。
病気の種類や進行度によっては、手術とほぼ同等の治療成績を有することもあります。
また最近では、薬物療法と併用する集学的治療が増えてきています。
2. 準根治照射(準根治的放射線治療)
完治まではいかなくとも、それに準じた局所制御を目指す治療です。
遠隔転移は無いものの進行していて手術は適応にならない場合に、多くは薬物療法と併用して行われます。
3. 緩和照射(姑息的放射線治療)
病気によって損なわれた生活の質(Quality Of Life;QOL)の向上を目指す治療です。
例えば、背骨への転移による痛みや麻痺を改善したり、食道がんによる狭窄を改善して食べ物を食べられるようにしたり、膀胱がんからの出血を止めたりなど多岐にわたります。
※なお、この治療をすることと病気が進行していることはイコールではありません。
4. 予防照射(予防的放射線治療)
根治手術後に、目には見えない腫瘍を制御するための治療です。
多くは乳がん、食道がん、肺がんなどの根治手術後に行われます。
当院の放射線治療の実績
当院が特に力を入れている治療について
1. 前立腺に対する治療
放射線治療では長期間、1日1回2Gyの放射線治療を平日毎日行い、病気の種類や状態などに応じて治療回数を調整する、通常分割照射という方法が行われてきました。
近年になり、数々の臨床試験を経て、病気の特性による治療効果や、患者さんの負担軽減という観点から、1回あたりの照射線量を増加して治療回数を少なくする『寡分割照射(少分割照射』が行われるようになってきています。
当院でも、2025年2月から代表的な疾患に対して導入を始めました。
また、前立腺癌に対する根治的放射線治療の方法として、『中等度寡分割照射』を導入しました。
これは、欧米でランダム化試験の結果から標準治療として位置づけられたものであり、
2つの技術
- 強度変調回転照射法(Volumetric Modulated Arc Therapy;VMAT)
強度変調放射線治療(Intensity modulated Radiation Therapy;IMRT)の応用型で、回転しながら照射することで治療時間を短縮し、周囲の正常組織への影響を抑えることができる方法です。 - 画像誘導放射線治療(Image Guided Radio Therapy;IGRT)
画像情報に基づいて放射線治療の際に照射位置を補正する技術で、標的に正確に放射線を照射するために用いられます。
を用いて、1回あたりの照射線量を3Gyとすることで、今までの『通常分割照射』の治療回数38回(約8週間)と比べて、同等の治療成績・安全性で、治療回数が20回(4週間)で済むようになりました。
2. 乳がんに対する治療
当院では乳がんで乳房温存手術後の患者様に対する術後放射線治療の方法として、『寡分割照射』を導入しました。
こちらも数々の欧米のランダム化試験の結果から標準治療と位置づけられたもので、1回あたりの照射線量を2.66Gyとすることで、今までの『通常分割照射』の治療回数が25回(5週間)と比べて、同等の治療成績・安全性で、治療回数が16回(約3週間)で済むようになりました。
ただし、技術については、肺への照射範囲・線量を減らすことができることから、VMATではなく従来の接線照射という方法を用いることが一般的に多く行われています。
なお、乳癌診療ガイドラインでは、手術の結果(切除断端が陽性、近接している場合)や年齢(若年、当院では50歳以下としています)によって、前述の治療に続いて追加で照射することが推奨されています。当院では該当する患者さんには4回追加(合計20回)を行うように推奨しています。
3. 緩和照射
がんによる苦痛を軽減するための症状緩和を目的として、放射線治療を行うこともあります。
原発巣か転移巣かによらず、病変による症状で苦しんでいる場合、あるいはそう遠くないうちにそのような症状を生じる可能性が高い場合には、その症状を和らげるために原因となっている部分に放射線治療を行います。
例えば、
- 乳がんが皮膚に露出して出血が止まらなくなったり、悪臭で困るようになったとき
- 背骨への転移のために強い痛みを生じたり、手足に力が入らなくなったとき
- 食道がんで食道が狭くなって食べ物を飲み込むと詰まったような感じがするようになったとき
- 縦隔リンパ節への転移で太い静脈が圧迫されて上半身がひどく浮腫むようになったとき
- 肺がんが太い気管支を狭窄して息苦しさを感じたり、咳や痰が出るようになったとき
などが挙げられます。
症状によっては、当日あるいは数日中に放射線治療を行うこともあります(緊急照射)。
当院で放射線治療を希望される場合
一般の方
がん相談支援センターTEL:046-229-2552
平日9:00~16:00
医療従事者の方
地域連携部TEL:046-229-1771(代表)
まずは、ご相談下さい。
治療までの流れや準備する物等ご説明致します。
放射線治療の特徴
欧米ではがん患者のうち約3分の2が放射線治療を受けている一方、日本では約4分の1で、受けることができない方がまだ多くいると考えられます。
1. 身体を傷つけずに治す
放射線治療の大きなメリットの1つは、臓器の機能や形態を温存できることです。
手術では、がんの周りの正常な組織も含めて切除するのに対し、放射線治療では正常な組織を残して治療できるため、整容性・機能性に大きな違いがあります。
2. 身体への負担が少ない
治療時間は治療室に入ってから出るまで約10~15分程度と短く、治療台の上でじっとしているだけで照射自体は数分で終わります。患者さんは、副作用を除き、放射線を照射されていることを感じることはありません。また、身体に放射線が残ることもありません。
副作用は必ず生じるものではなく、種類によってその頻度・重症度も違いますが、日々の治療による身体の負担は一般的に手術や化学療法と比べて少ないと言われています。
3. 外来での通院が可能
多くの場合は日常生活を送りながら治療を行うことができます。
当院では、治療時間をご都合に合わせてできるだけ調整しております(ご希望に添えないこともございます)。
4. 放射線の効果に違いがある
放射線治療を行うことができない部位はありませんが、がんの種類および病気の広がり具合や、患者さんの日々の状態の違いによって、放射線の効果に違いが出ることもあります。
5. 病気の状態によっては、治療期間が長くなることがある
病気の種類やその状態によっては、治療期間が1~2か月と長期になる場合があります。当院では、長期の治療期間中に通院が難しくなった場合には、入院での治療に切り替えることが可能です。
よくある質問
- 診察を受けたら、すぐに治療が始まりますか?
- 治療には準備が必要なため、すぐに始めることはできません。
病変や治療方法に合わせた治療の計画を立てる必要があり、治療開始までに数日かかります。(症状により例外あり) - 治療中に運動をしても大丈夫ですか?
- 大丈夫です。
軽い運動であれば、問題ありません。 - どんな服装で行けば良いのでしょうか?
- 服装は自由ですが、位置を合わせるために印を身体に付けるため、インクが付いても良い服装でお越しください。
- 治療の時間は、どのくらいかかりますか?
- 実際に放射線をあてている時間は数分ほどですが、位置合わせなど準備を含めると入室から退室までは10~15分程度になります。
- 食事はしても良いでしょうか?
- 基本的には、食事の制限はございません。
もし食事の制限がある場合は、事前におしらせをいたします。 - 治療中は、家族や周囲の人に放射線の影響はありませんか?
- 放射線は、あてている時のみ機械から出ていますので、治療室を出た後に身体から出ることはありません。
こちらも参考にしてください。
患者さんと家族のための放射線治療Q&A 2025年度版
放射線治療に関するご相談は、がん相談支援センターへ
東名厚木病院は、神奈川県がん診療連携指定病院です。
当院のがん治療はこちら(がん治療ページへ)