消化管の検査は内視鏡が一番?
4月から入職しました消化器内科の松嶋です。これまでは東海大学で教えていました。今回、「なぜ内視鏡が大切か」というお題をいただき、学生や研修医に教えていたことを思い返しつつ説明したいと思います。
1. 消化管を調べるにはどのような方法があるか?
消化管検査には形態を評価する検査と機能(動きや働き)を調べる検査があります。皆様が心配される癌などは形態で評価します。内視鏡のほか、バリウム造影、超音波、CT、MRI などがありますが、消化管については内視鏡が最も信頼される検査とされています。
2. 内視鏡検査と他の方法との差は?
内視鏡は、他の検査とどこが違うのでしょうか。日本では伝統的にバリウム造影が発達し、食道、胃の健診でもよく用いられています。学生には、内視鏡でできてバリウム造影でできないことを二つ、当てさせていました。皆様はいかがですか?
一つは色です。バリウム造影は表面の凹凸を評価し白黒で示されますが、早期癌に多い平坦な発赤病変等の描出は非常に困難です。内視鏡でも平坦病変は難しいですが、発赤を手掛かりに診断できる可能性があります。二つ目は生検です。怪しいところがあったら、組織を採取して病理検査で癌などを診断できるのです。
超音波、CT、MRI にしても同様です。さらに、超音波は空気や食物で邪魔されるので、消化管検査としては限界がありますし、CT、MRI は撮影する瞬間のみの写真なので、収縮や内容物の影響を受け、解像度も劣るため小病変の発見能力が内視鏡に及ばないのです。
以上より、とくに早期病変の検出には内視鏡が一番なのです。
3. 内視鏡検査の欠点
これは何と言っても、苦痛でしょう。昔の胃カメラ(名の通り、先端に小さなフィルムカメラがついた管)に比べれば、はるかに柔らかく細くなりましたが、個人差はあるものの、上部では嘔吐反射や腹部膨満感、下部では痛みや膨満感があります。経鼻内視鏡もありますが、嘔吐反射は軽減されるものの鼻痛や鼻出血をきたす方もおり、万能とはいえません。年齢や全身状態によりますが、鎮静剤や鎮痛剤の併用も一法です。私たち、消化器内科医は、苦痛の少ない内視鏡手技を行えるよう、日々、努力しています。
4. 終わりに
欠点はあるものの、現時点で内視鏡に優る消化管検査はありません。苦痛軽減に努めますので、必要な際には躊躇なく内視鏡を受けていただくよう、お勧めします。
東名厚木病院 消化器科 松嶋 成志
1985年 東京大学医学部卒
日本内科学会認定 認定内科専門医・指導医/日本消化器病学会認定 消化器病専門医・指導医/
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医・指導医/日本消化管学会胃腸科専門医・指導医/
日本へリコバクター学会認定 H.pylori( ピロリ菌 ) 感染症認定医





