糖尿病はなぜ怖い? ~将来の健康を守るために~
「糖尿病と言われたら終わりですよね」「できれば薬は飲みたくありません」。糖尿病の外来では、このような言葉をよく耳にします。糖尿病は、一度診断されたら好きなものは食べられない、薬を一生飲み続けなければならない、というイメージがあるかもしれません。しかし、本当にそうでしょうか。
1. 糖尿病はなぜ怖い?
糖尿病で問題となるのは、血糖値が高いことだけではありません。高血糖が長く続くことで血管が少しずつ傷つき、神経、目、腎臓などに合併症を起こすことがあります。また、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患にも注意が必要です。しかも、糖尿病の初期には自覚症状がないことが少なくありません。「何も症状がないから大丈夫」とは言えないのです。
2. 薬は飲まないほうが良い?
糖尿病と診断されると、「できるだけ薬を飲まずに頑張りたい」と考える方も多いと思います。もちろん、食事や運動などの生活習慣を見直すことはとても大切ですが、薬を飲まない・注射を打たないことが必ずしも良いこととは限りません。血糖値が高い状態が長く続くのであれば、必要な薬を使って血糖値を良好に保つ方が、将来の合併症を防ぐためには有益な場合があります。
3. 薬を使っても生活習慣は大切
薬を飲んでいるから何を食べてもよい、というわけでもありません。食事、運動、体重管理、禁煙なども糖尿病治療の大事なポイントです。ただし、生活習慣の改善を頑張っても血糖値が思うように下がらないこともあります。糖尿病には体質や遺伝、加齢など、自身の努力だけでは変えられない要素も関係しているからです。そのような場合に薬の力を借りることは、決して「努力不足」ということではないのです。
4. おわりに
糖尿病と診断されても、「もう終わり」ではありません。むしろ、早く見つかったことを前向きに捉えてみましょう。
糖尿病治療の目的は、薬を飲むことでも、血糖値をただ下げることでもありません。将来、神経や目、腎臓などを守り、できるだけ健康に生活することが目的です。「どうすれば将来の健康を守れるか」という視点で考えてみてください。薬を使うことも、生活習慣を改善することも、どちらも健康な未来のための手段なのです。
将来の健康を守るため、健康診断で血糖値の異常を指摘されたら、自覚症状がなくても、そのままにせず一度医療機関へご相談ください。

東名厚木病院 糖尿病・代謝内科 小谷 ひとみ
2018年 京都府立医科大学医学部卒
日本専門医機構認定 内科専門医





